桜餅 いのち、ふくらまそう

桜餅 いのち、ふくらまそう

桜餅バカ日誌11

NHK特集ドラマ
「眩(くらら)

〜北斎の娘〜」(後半)

 

 

 

おやじ殿が倒れたという噂は、

すぐに江戸だけではなく、

諸国の版元や、絵師に知れ渡った。

 

**********

 

絵師としてのおやじ殿を失いたくない。

これは、私の欲なんだろうか。

 

**********

 

馬琴) 無様よのう!

  葛飾北斎が…こんな掃きだめで、

  恍惚としおって。絵師風情が、

  このまま、枯れ木のごとく枯れ

  果てようとわしには何の痛痒も

  ござらん。人並みの往生を望もう

  とも、わしの知ったこっちゃない。

  だが…。

(北斎の耳に口を近づける馬琴)

馬琴) わしは、

  かような往生は、望まぬな!

  たとえ右腕が動かずとも、

  この目が見えぬ仕儀に至りても、

  わしは必ずや、戯作を続ける。

  まだ何も書いておらぬ。己の思う

  ように書けた事などはただの一度

  もござらぬ。その方も…さようでは

  なかったのか?

  葛飾北斎!

  いつまで養生しておるつもりぞ!

  ここでもう満ち足りたのか!

  描きたき事、挑みたき事は、まだ

  山とあるのではなかったのか!

 

**********

 

馬琴) そなたが、お栄さんか。

  拙宅で取れた、柚子だ。

  これを細かく刻んで酒を加え、

  焦がさぬように煮詰めろ。

  水あめのごとき様子にならば、

  火から下ろし、白湯で割って、

  口に含ませてやれ。

お栄) 柚子と酒?

馬琴) さよう。酒の毒は、煮詰めれば、

  とぶ。柚子を刻むは竹べら。煮るは、

  土鍋に限る。

 

**********

 

北斎) お栄…。

  養生は…もう…飽いた。

 

 

お栄) はっ…。よし。

 

**********

 

私は柚子を刻み続けた。

これさえ飲んだら必ず元に戻れる。

おやじ殿は、

そう信じているようだった。

 

**********

 

季節が変わった頃、おやじ殿は、

絵こそまだ描けないものの、

筆を持っても落とさない

ところまでは回復した。

 

亡くなったのは、おっ母さんだった。

 

**********

 

善次郎) もう描いてるらしいじゃねえか。

お栄) ああ。お医者も目ぇ丸くしてる。

  もう二度と、描く事を手放すまいって 

  思ってんだろうな。

善次郎) お前は? 

   お前も描いてんだろ?

お栄) 私か…。私、何なんだろうな…。

  おやじ殿の事ばっかり考えて…。

  私ちっともおっ母さんの事なんか

  思いもつかなかった。そうさ…。

  私はおやじ殿を…おやじ殿の絵を

  失うのが怖かったんだよ。親よりも

  絵が大事なんて、私ってやつは…。

善次郎) 大丈夫だよ。おっ母さん

   きっと全部分かってる。

   分かってるさ。大丈夫。

 

 

お栄) 善さんにもいろいろ世話に

  なったな。おっ母さんの野辺送り

  には妹さんたちや…。あのお滝

  さんだっけ。あの人も来てくれて。

  本当ありがたかったよ。

善次郎) そうか。お滝も行ったのか。

   あいつ毎日顔突き合わせてん

   のにそんな事ひと言も言いや

   がらねえから。

お栄) 毎日?

善次郎) ああ、今一緒に住んでる。

(踊るお滝の姿を思い出すお栄)

善次郎) おっ、そうだった。

   これこれ。これ、どうだ?

お栄) 何? この青。

善次郎) ヘヘッ。ベロよ。浮世絵でこの

   ベロ使ったの俺が初めてなんだぜ。

   おやじ殿に見てもらいてえと

   思ってよ。(ベロ=ベルリン藍)

 

 

お栄) うん…深い青だ。

  普通の藍じゃないね、これ。

善次郎) おうよ。さすがお栄だ。

   あ〜お前に先に見せるんじゃ

   なかったな。親子ともどもあっ

   とのけぞらせてやるつもりだっ

   たのによ。ああ? どうした?

   具合でも悪いのか?

 

 

善さんの優しさは毒だ。

 

 

私はとうとう、毒を食らう。

目眩がした。

 

 

**********

 

 

一度限りと思ってたのに…。

こんな事になっちまって

お滝さんに気が差さないのかい?

 

お栄) 差すよ。

  あっし、あの人嫌いじゃない。

 

本当かね?

いっそ奪っちまいたいって

思ってるんだろう?

 

お栄) うるさい、うるさい。

  私はきっと相手は誰だってよかった

  んだよ。たまさか気の合う男がそば

  にいただけの事。これから先どうな

  るかなんて思案に暮れるのは真っ

  平ごめんだよ。

  はあ、いいじゃないか。朝になれば

  家に帰っていくんだから。

 

**********

 

弥助さんは独り立ちする事になった。

 

 

おやじ殿は、70にして腰が伸びた。

 

**********

 

昼夜を問わず、

江戸はよく燃える。

 

お栄) 善さん…。

 

天を焦がし、朝焼けでも

夕焼けでもない色を見せる。

 

善さんの家は焼け落ち、

それから3年、

生きていると噂は聞くものの、

姿を見せる事はなかった。

 

**********

 

1830年

 

おやじ殿はどんどん富士を描き、

西村屋は「富嶽三十六景」と名付け、

鳴り物入りで売り出した。

ほかの仕事は一切私が引き受けた。

 

 

「富嶽三十六景」は

売れに売れまくって、

新しい名所絵の流行りを作り出し、

日本諸国、北は松前、南は薩州まで、

あらゆる所でおやじ殿の富士が

拝まれるようになった。

北斎の名を知らぬ者は、いなくなった。

 

 

**********

 

善次郎) よう。変わりはねえか?

   変わりねえみてえだな。

   何だよその面。

   びっくりし過ぎだろう。

お栄) 変わりねえ訳ねえだろ。

  何年たってると思ってんだい。

善次郎) ご挨拶だな。

   桜餅買ってきたのによ。

   おやじ殿は?

お栄) 絵描きに出かけちまったよ。

  そっちは?

善次郎) ん?

お栄) 根津で女楼屋してるなんてえ

  聞いたけど、うそだろ?

善次郎) ああ、本当さ。

   所帯持って女楼屋始めた。

お栄) そうか。

善次郎) ハハッ! しっかし…

   ますます売れっ子だってえのに

   本当に変わりねえな。もうちっと

   いい暮らしできそうなもんだ。

お栄) 食って寝られりゃ上等だよ。

  おかげさまで、酒も煙草も好きな

  時に好きなだけ味わえる。

  私は描いてさえいれば幸せさ。

善次郎) この間の「菊に虻」。

 

 

善次郎) あれお前の筆だろ。

   虻はおやじ殿。でも菊はお前だ。

   それから「牡丹に蝶」。

 

   

善次郎) あっちは花がおやじ殿で、

   蝶がお前。当たりか?

お栄) 分かっちまうのかい。

  そりゃよくねえな。

善次郎) お前の絵には

   色気がねえからな。

お栄) ほっとけ。

善次郎) お前ももうてめえの名前で

   注文が来てるらしいじゃねえか。

   これからはもっとお前の名前で

   描きゃあいい。

お栄) おやじ殿は、私にとっちゃ光だよ。

  眩すぎて到底届かない。それに、

  おやじ殿の名で描いた方がよっぽど

  高く売れるってのにさ。

善次郎) これ桜か?

お栄) ああ。向島の料理屋から受けた

  注文でね。

善次郎) 灯籠と、こっちも灯籠って事は、

   これ夜桜か?

お栄) 座敷に飾ってお客の目に触れる

  のは夜の宴だろ。ぼんぼりをともした

  薄闇の床の間には、こういうのもいい

  かと思ってさ。

善次郎) 夜に夜の景色見せんのか。

お栄) 夜の闇の中にも、

  いくらだって光と影があるだろ。

  闇のおかげで、

  光もいろんな色を見せる。

 

  

お栄) この子は今、灯籠の明かりを

  頼りに歌を詠もうとしてるんだ。

  夜にはきっと、昼には書けない

  歌が詠める。

善次郎) 本当お前ってやつは…。

   お前は本当己の腕を分かっちゃ

   いねえんだよ。あきれるほど。

お栄) どういう意味だ?

  意味が分からねえ。

善次郎) 俺にとっちゃお前も光って事よ。

   くらくらする、眩しい光だ。

   俺はもう絵は描かねえ。

   お前は描き続けろ。

(出て行く善次郎)

(絵を見ているお栄)

 

**********

 

 

**********

 

1844年

 

おやじ殿は80を過ぎた頃から、

徐々に一点物の絵に

力を注ぐようになった。

 

**********

 

北斎) お栄。

お栄) えっ?

北斎) 善次郎が死んだ。

お栄) 寝ぼけてんのかえ?

  縁起でもない夢…。

北斎) さっき、女房から使えが来た。

  今夜、野辺送りだそうだ。

お栄) あっ、そう。

  嘉永元年夏、渓斎英泉こと

  池田善次郎、死んじまうってね…。

北斎) あんな図々しいのが、

  風邪なんぞで逝っちまうとは…。

(机に向かうお栄)

北斎) ちゃんと見送らねえと、

  いつまでも、尾を引くぞ。

  今からなら、

  まだ間に合うかもしれねえ。

(立ち上がり、出て行くお栄)

 

**********

 

(目の前を通っていく善次郎の棺)

(立ち止まり、お栄に一礼するお滝)

(棺を目で追うお栄)

お栄) あばえ…善さん。

 

**********

 

 

真ん中は若い遊女だ。

きっとまだ閨の事は好きじゃない。

いつか自分も花魁のようになれる

かどうか不安でたまらない。

でも、わちきも琴は好きだ。

お客が喜んでくれる。

 

右手には婀娜(あだ)な女芸者。

年は25か26か。心底惚れた男が

これまでに一人いる。けれど

その恋はかなわなかった。今は、

親子ほど年の離れた旦那がいる。

もの足りなくもあるけれど、

私には三味線の腕がある。

 

左で胡弓を弾く娘は町娘だ。

商家の一人娘で、

いずれ遠縁から婿を迎える事が

幼い頃から決まっている。

許嫁は洒落者を気取って

「芝居を見よう。菊細工見物はどうだ」

と誘ってきて煩わしい。

本当は、若い手代の一人が気になる。

ふとした拍子に目が合えば、

胸がどきついて…。

 

**********

 

 

北斎) 酔女(えいじょ)?

  世を捨てたような、画号だな。

 

 

お栄) お栄の栄と、酔うっていう字は、

  おんなじ音だからな。

(酒を飲むお栄)

お栄) 私らしいだろ?

 

 

**********

 

お栄) はあ〜…すげえ。すげえ。

北斎) ああ…うまくなりてえ…。

  天が、あと10年…いや、

  5年、命をくれるなら、俺は、

  本当の絵描きになってみせる。

  きっと、なってみせる。

 

 

 

 

**********

 

その数か月後、

私は、おやじ殿を失った。

 

 

 

お栄) (泣)

  私もうまくなりてえなあ…。

  なりてえなあ…。

 

**********

 

そして、私も年を取った。

黒船が来て、地揺れが起きて…

弟の家にやっかいになった。

 

**********

 

(行燈の灯のもと、絵を描いているお栄)

お栄) ほ〜れ。こうしてここに

  深〜い黒を落とすだろう。

 

 

お栄) そうすると、こっちの明かりが、

  余計強く宿って…。

 

 

お栄) そう…。これが光さ。

 

この世は、光と影で出来ている。

影が万時を形づけ、

光が、それを浮かび上がらせる。

 

 

**********

 

お栄) ♪とんび からすに

  ならるるならば

 

 

お栄) ♪飛んで行きたや 主の側

  はっ ちりちりちん つるつるつん

 

 

 

●前半はこちらから↓

 

**********

 

ドラマの中で「乙粋」っていう台詞が出て

くるんだけど。まさに乙粋なドラマだった。

そして…乙で、粋な、女優、宮崎あおい!

彼女の柔らかな雰囲気から、これほど粋

で凛とした、一見ガサツな女が見られる

なんて…。いや〜幾度となく、見惚れてし

まった。善次郎とお栄のシーンには特に。

 

善次郎の中の人の指がきれいでズルイ。

あれはいけない。きれいで、ヤバイ指…。

 

善さんの優しさは毒だ。
私はとうとう、毒を食らう。
目眩がした。

 

あぁ…何て甘やかで、魅力的な毒だろう。

食らわずにいられないお栄に激しく共感。

目の前にある甘い毒に、手を出さずにい

られる気がしない。毒で…クラクラしたい。

 

ああ…うまくなりてえ…。
天が、あと10年…いや、
5年、命をくれるなら、俺は、
本当の絵描きになってみせる。
きっと、なってみせる。

 

天才ってのは才があるだけじゃないのね。

欲がとんでもなく深い。もっともっとと、望

む高みにはキリがない。死ぬまで、もっと

うまくなりたいという北斎の欲にクラクラし

た。締め切りは守っても、己の欲に、足る

を知ることがない人生に、惚れ惚れする。

 

父・北斎に筆を握らされた時から絵師の

人生が始まった娘は、父の人生の最期

に父親の手に筆を握らせるのだった…。

 

こういう、視覚に、見る者の感性に訴える

作品の場合、余計なことは言いたくなくな

るのが常で…。絵画を鑑賞するように…

それぞれが、それぞれに、感じればいい。

 

私は絵が描ける、絵が上手い人に弱い。

だからもう、北斎やお栄のような才能には

無条件で降伏してしまうのだ。羨ましくて、

眩しくて…。天才の甘い毒に魅せられる。

 

北斎の、お栄の絵が見たい! 見るなら

今だと思っていたら耳寄りな情報が。↓

 

NHKドラマ「眩〜北斎の娘〜」の最後に

登場した、葛飾応為(お栄)の代表作

「吉原格子先之図」は、原宿の太田記

念美術館にて、9/30〜10/29、特別公

開されます。また、葛飾北斎の「冨嶽

三十六景」全46点も同時に一挙公開さ

れます。詳しくはこちらをごらん下さい↓

 

 

 

 

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桜餅情報イチ早

§


ロールケーキって崩れにくいし、多少の人数でも食べられるので洋のお持たせ、手土産として最適ですね。


先日紹介した が大阪土産代表なら、KIHACHIのロールケーキは東京土産代表という感じ。



じつはここ数年のロールケーキブームの火付け役はこの@トライフルロールなのです。


ロールケーキのために熊谷喜八氏が試行錯誤を繰り返したというメの詰まった、薄めのスポンジはふわしっとり。
ロールケーキってどこかチープな感じがするんだけど、フルーツがゴロゴロ入って満足度満点。
生クリームと中心部のカスタードクリームがフルーツに絡んで幸福度も満点(笑)。




そしてこちらは季節限定の@桜ロール


アクセントに塩漬けの桜の葉をシールした和風テイストのロールケーキ。


桜色のスポンジの中はストロベリークリームと黒く丸く見えるのは小豆餡。





中心部は白い部分はナント求肥。それに包まれているのはカスタードと思いきやレアチーズのムース。


食べているときはロールケーキでも、後味は桜餅のようなロールケーキは春満開という感です!






真間山弘法寺の伏姫桜(枝垂桜)は今が満開です。














店舗情報は↑HP参照ください。




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