ROUTES : RAMSEY REWIS
(1980年)
ラムゼイ・ルイスは1956年に、CHESSレコードよりファースト・アルバムを出して以来、これまで実に50年以上に渡りアルバムを製作してきており、その数も60作以上となっています。1965年には「THE “IN”CROWD」でグラミー賞を受賞しました。また70年代にはエレクトリック・ファンク路線にシフトし、74年にはモーリス・ホワイトをプロデューサーに迎え、アース・ウィンド&ファイアーのメンバーも参加した、アルバム「SUN GODDESS(太陽の女神)」を発表し全米第5位のヒットを記録しました。70年代から80年に掛けてはブラック・ファンク路線を強め、「SALONGO(サロンゴ)」「TEQUILA MOCKINGBIRD(テキーラ・モッキンバード)」などのアルバムではアース・ウィンド&ファイアーのメンバーをプロデュースやメンバーに迎え大ヒットさせています。この頃のラムゼイのアルバムではやはりアースと組んだアルバムが、ファンキー度合いも強く出来が良かったと思います。「SUN GODDESS(太陽の女神)」のヒット後、次の作品「DON’T IT FEEL GOOD(ラムゼイ・ショック!)」も、ラムゼイはアースの参加を希望していたのですが、この当時アースは自分たちのアルバムのヒットとツアーに忙しくて、スケジュールが合わずにラムゼイの新作には参加しませんでした。その代わりというわけではありませんが、このアルバムでは、ラムゼイやアースと馴染みの深いチャールズ・ステップニーが参加し、またアースのヒット作「THAT’S THE WAY OF THE WORLD(暗黒への挑戦)」を取り上げていました。今回紹介する1980年のアルバム「ROUTES(ルーツ)」ではアース・ウィンド&ファイアーのキーボード・プレーヤー・ラリー・ダンをプロデューサーに迎え、またアル・マッケイ、モーリス・ホワイト、ラリー・ダン、フィリップ・ベイリー、フレッド・ホワイトといった当時のアースのメンバーが参加しています。アースが参加しているのは全10曲中6曲で、残り4曲はニューオリンズ・ファンクの重鎮、アラン・トゥーサンがプロデュースを行っています。他に参加ミュージシャンは、ローランド・バウティスタ(g)、バイロン・ミラー(b)、ケニー・バーク(b)、レオン・”ンドゥグ”・チャンクラー(ds)、ジェームズ・ギャドソン(ds)、パウリーニョ・ダ・コスタ(perc)、ドナルド・マイリック(sax)、ルイス・サターフィールド(tb)他です。
01.Whisper Zone(ウィスパー・ゾーン)
02.High Point(ハイ・ポイント)
03.Tondelayo(トンデラヨ)
04.Caribbean Blue(カリビアン・ブルー)
05.Looking Glass(ルッキング・グラス)
06.Come Back Jack(カム・バック・ジャック)
07.Colors In Space(カラー・イン・スペース)
08.Crystals ’N Sequence(クリスタルズ・ン・シークエンス)
09.You Are The Reason(ユー・アー・ザ・リーズン)
10.Hell On Wheels(ヘル・オン・ホィール)
1曲目から5曲目そして7曲目がラリー・ダンのプロデュースです。1曲目「Whisper Zone(ウィスパー・ゾーン)」スキャット・ボイスのイントロに導かれエレピの響きが心地よい「SUN GODDESS(太陽の女神)」にも通じるメロウ・ダンサブルな曲です。2曲目「High Point(ハイ・ポイント)」いかにもアル・マッケイのカッティングがアース的です。ラムゼイはアコピに専念しシンセはラリー・ダンに任せています。3曲目「03.Tondelayo(トンデラヨ)」ラテン調のミディアム・ナンバーです。4曲目「Caribbean Blue(カリビアン・ブルー)」ラムゼイのアコピを中心にシンセ、エレピの味付けが絶妙なアレンジです。アルト・ソロはフェニックス・ホーンズのドナルド・マイリックです。5曲目「Looking Glass(ルッキング・グラス)」は唯一ラムゼイのオリジナルでソロ・ピアノ作品です。7曲目「Colors In Space(カラー・イン・スペース)」アコピを中心にパーカッシブルなフュージョン作品です。チョッパー・ベースはバイロン・ミラーです。6曲目と8曲目「Crystals ’N Sequence(クリスタルズ・ン・シークエンス)」以降はアラン・トゥーサンのプロデュースです。「Crystals ’N Sequence(クリスタルズ・ン・シークエンス)」はムーディーに、9曲目「You Are The Reason(ユー・アー・ザ・リーズン)」は軽やかな感じがラムゼイのアコピに合っている感じです。、全体的に明るくメロディアスなフュージョン・サウンドとなっていますが、できれば「SALONGO(サロンゴ)」のようにもう少しファンキー度合いが強かったほうが良かったように思います。