笑福亭仁鶴 わたしの顔が会社の顔です
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ボンカレーの開発秘話は一度ブログにアップしていますがわかりやすい記事内容だったので
資料も兼ねてブログにアップしておきまーす。
ちなみに2月12日はボンカレーの発売日(1968年)ということで
「レトルトカレーの日」なのでした!!!!
スパイシ〜〜♪♪♪
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仕事をしたら“レトルトカレー”ができた(前編):ルーツは病院にあった? 今年46歳、ボンカレーの過去 (1/5)
1968年に発売された「ボンカレー」は、どのように開発されたのだろうか。製造元の大塚食品に聞いたところ、意外な答えが返ってきた。カレーが入っている袋を殺菌するために……。
レトルトカレーと聞いて、どの商品名が浮かびますか?
沖縄出身のY嬢に聞かれ、いくつかの商品名を挙げたところ「ドイさんはやっぱり本土の人ねえ。沖縄の人は違うんですよ。レトルトカレー=ボンカレーなんです」
な、なんと、本当に? 気になったので、複数の沖縄県民に聞いたところ、一同「レトルトカレー=ボンカレー」だった。
多くの人が一度は食べたことがあるモノだと思うが、なぜ沖縄の人の間でそれほど定着しているのか。いや、それだけではない。そもそもどのようなきっかけで、レトルトカレーを作ろうと思ったのか。当時の技術力からいって、レトルトカレーを開発するのは困難を極めたはず。気になることがたくさん出てきたので、ボンカレーのマーケティングを担当している大塚商品の垣内壮平さんに話を聞いた。
開発のきっかけ
土肥: ボンカレーを取材するにあたり、ちょっと調べてみました。まず驚いたのは「世界初の市販レトルト食品」であること。1968年2月に産声をあげて、今年で46歳。1968年にどんな出来事があったかというと、「3億円事件」(東芝府中工場の従業員のボーナスが強奪された)があったり、米国のキング牧師が暗殺されたり、物騒なことがありました。その一方で、川端康成が日本人で初めてノーベル文学賞を受賞しました。
「川端康成」と聞くと、そーいえば学校で習ったよなあ……といった感じで歴史上の人物という印象がありますよね。そんな時代にどのようなきっかけで、レトルトカレーを作ろうと思われたのでしょうか?
垣内: 米国の雑誌に、缶詰に代わる軍隊の携帯食としてソーセージを真空パックにしたモノが紹介されていました。雑誌記事を読んで「この技術を使えば、お湯で温めるだけで食べられるカレーができるかもしれない」と考え、開発を始めました。ボンカレーが発売される4年前……1964年のことですね。
土肥: 開発に4年ほどの時間がかかっていますが、どんな苦労があったのでしょうか?
垣内: レトルト食品を長持ちさせるためには、殺菌をしなければいけません。そのために、どんな技術を応用したと思いますか?
土肥: うーん、難しいですねえ。ヒントをいただけますか?
垣内: レトルトの袋(パウチ)をよーく見てください。何かに似ていませんか?
土肥: 袋……銀色……ダメ、何も思いつきません(降参)。
垣内: 病院で使われている点滴の殺菌技術を応用したんですよ。もう一度、袋を見てください。点滴の袋となんとなく似ていませんか?
土肥: 確かに!
垣内: 現在の袋は銀色ですが、当時のモノは半透明。まさに点滴の袋のようでした。
土肥: 消費者からクレームがきたんじゃないですか。「これ点滴の袋みたいじゃないか! なにか色をつけてよ!」――そんな声を受けて、銀色にされたんですか?
垣内: いえ、違いますね。半透明の袋は光と酸素によって風味が失われてしまうので、賞味期限は夏場2カ月、冬場3カ月でした。2〜3カ月では短いので、アルミ製の袋にしました。その結果、賞味期限が2年になりました。
土肥: いま垣内さんはサラッと話されましたが、たった1年でものすごいモノを開発されたわけですね。その後、殺菌技術は進化していくのでしょうか?
垣内: いえ、基本的には全く変わっていません。圧力をかけながら熱をあたえて殺菌していくのですが、当時の釜はまだ工場にあるんですよ。
土肥: それは記念に置いているんですか? 新人を教育するときに「この釜を見て、当時の苦労を思い出せ!」といった感じで(笑)。
垣内: いえいえ、きちんと動いていますよ(笑)。
土肥: なんと! その釜は45年間もカレーをけなげに作り続けているんですね。
垣内: もちろん、その後、新しい機械がたくさん導入されています。ただ新しい機械の原理は、初期のモノと全く同じなんですよね。
発売当初は苦戦
土肥: 食の世界には革命的な技術で生まれたモノがいくつかあります。例えば、インスタントラーメンや缶詰なんかはそうですよね。レトルトカレーもその1つだと思うのですが、発売当時消費者に受け入れられたのでしょうか?
垣内: 残念ながら、苦戦しました。消費者からは「なぜこんなに保存ができるの?」といった声が多かったですね。
土肥: ヘンなモノでも入れているんじゃないの? といった声が多かったとか。
垣内: そうなんですよ。でも、きちんと殺菌しているので、体に問題はございません。会社は何度も何度も「防腐剤などは一切入れていません」と説明して回りました。
あと、価格が高かったんですよ。当時のうどんは1杯50円だったのですが、ボンカレーは80円。50円出せばおいしいうどんが食べられるのに、それよりもたくさんお金を出して、見たこともない“袋に入ったカレー”を食べようという人は少なかった。
土肥: 当時の時代環境として、「女性はきちんと料理をしなければいけない」という意識が、今よりも強かったのではないでしょうか。晩ごはんにレトルトカレーを出されたら、旦那さんは「なんだこれは? ワシにこんなモノを食わせるのか! 手抜きをしやがって!」などと言って、ちゃぶ台をひっくり返していたのかもしれない(苦笑)。
垣内: ご指摘のとおり、そんな時代だったと思います。いまでも年輩の人たちからは「旦那さんに、レトルトカレーを出すのは気が引ける」といった声を聞きますね。
ただ1970年代の日本は、核家族化が進んでいきました。そうすると、食事はそれまでの「家族団らん」というスタイルから「個食」になっていくんですよね。そうした時代背景もあって、徐々にレトルトカレーが支持されるようになりました。
伝説のホーロー看板
土肥: 半透明の袋では賞味期限が2〜3カ月ほど。「これではダメだ。売れない」ということで、翌年にはアルミ製の袋にして、賞味期限を格段に長くすることに成功された。また日本人の食生活が変化していったことで、レトルトカレーが売れていった。
ただ、商品が売れた理由は、それだけではないと思うんですよ。今の若い人は知らないと思うのですが、ボンカレーといえば広告のインパクトがすごかったですよね。テレビCMでは、笑福亭仁鶴さん扮する時代劇『子連れ狼』のパロディがヒットしました(1972年放送)。「大五郎、3分待つのだぞ」というコピーは多くの人の関心を集めました。巨人軍の王選手(当時)が登場したときにも、話題になりましたよね(1978年放送)。
また、女優・松山容子さんが微笑んでいるホーロー看板は、忘れることができません。大塚食品は本社が大阪なので、関西にこの看板が多かったのではないでしょうか。ワタクシは大阪で育ったので、この看板をよく目にしました。小学生のときには、友だちと一緒に看板を見ながら「誰やこのオバハン?」などと言っていました(失礼)。
垣内: 松山さんのホーロー看板は、全国で9万5000枚も取り付けられていたんですよ。
土肥: どのように取り付けていったのでしょうか? 民家の軒先とかにも貼っていましたよ。今では考えられません。
垣内: ホーロー看板は1枚でもかなりの重量なのですが、それを何枚も自転車に積んで、営業マンが回ったんですよ。雑貨店などを回って、「付けさせてください」とお願いしました。そして先方に承諾をいただいたら、トンカチを取り出して、すぐに取り付けていきました。
いまだと本部と交渉して、「はい、おしまい」といった感じですよね。当時はそうではなく、個人商店との結びつきがとても強かった。夏の暑い日にも、自転車をこいで、額から汗を流しながら、ホーロー看板を取り付けていきました。
ボンカレーが売れた
垣内: なぜボンカレーが売れたのか? という質問には「賞味期限を長くすることに成功した」「個食が進んだ」「CMがヒットした」――この3つを挙げることができますね。こうして発売してから5年後には、年間1億食を超えることができました。
土肥: 当時、「日本のカレーといえばボンカレー」と言われるほどだったそうですが、いまでも「レトルトカレーといえば、ボンカレー」という地域がありますよね。
垣内: 沖縄ですよね。
土肥: はい。取材の前に、複数の人にこのような質問をしました。「レトルトカレーといえば、どの商品が思い浮かぶ?」と。そうすると、いろいろな名前が挙がってきました。「ククレカレー」であったり、「カレー職人」であったり、「カレーの王子様」であったり。そりゃあ、そうですよね。たくさんの種類のレトルトカレーが売られているので、いろんな商品名が出てきて当然。でも、沖縄の人だけは違った。全員が「ボンカレー」と答えたんですよね。
そこでお聞したい。沖縄ではなぜボンカレーが支持されているのでしょうか? 特別なマーケティングでも行っているのでしょうか?
垣内: 実はですね……。
(つづく)
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